第9章 おおはらMEN豚目線2
「うーん、ここにあったはずなんだけどなぁ」
MOB楽園にやって来た俺たちは、今そこにいる人間と一緒に土地開拓というものをやっていた。
なんでも、俺たちみたいに行く宛てもないMOBたちを受け入れる楽園みたいな場所を作るんだと。
といっても、この人間たちのことを本当に信用していいのか……俺は疑っていてこうして物陰に隠れている。それにあの人間は特に何か物をいつも探している。
「あ、そこにいるのはMENか?」
と声を掛けてきたのは人間の肩に乗っていた手乗りストライダーのカズさん。ああ見えて俺たちより長生きで物知りだから侮れない人だ。
「なんすか、カズさん……」
仕方なく物陰から出てくると、人間がすぐに俺に気づいた。
「あ、そんなところに豚さんがいたのね!」と言うなり俺はあっさり人間に抱えられた。「こんなに泥だらけで……カオルさん! そのブラシ貸してくれます?」
「ああ、いいよ。丁度こっちの毛繕いも終わったし……」
どうやら俺は今から毛繕いされるらしい。この体勢だと何も出来ないので大人しくしてよう……って横のたいたいの視線が気になるな。
「なんだよ、たいたい」
「俺だって女の子に毛繕いされてーよ!」
「は……?」
そういえばこの人間、女の子……雌の方だったな。俺はわざとらしくたいたいを見下ろしてやった。
「残念だったな、たいたい!」
「はぁ〜、俺も豚になりたい……」
「おい、たいたい、おおはら、ケンカするなよ〜」
そこにきおきおもやって来て今日もうるせぇ一日だった。まぁそれも、悪くないかなって思えてきた。
「それにしても探し物はしなくてもいいのか……?」
人間の肩にいるカズさんがそう呟いているのは聞こえた。そういえばあの人間、何探してたんだろな。毛繕いが終わったら探してやってもいいか。