第8章 たいたい牛目線2
「あ、やば」
と小さく叫んだおおはらの声。何事かと振り向いた時にはもう遅い。俺の方に食材入れの箱の山が崩れてきて……?!
「ちょ、待っ……!」
悲鳴を上げる余裕はなかった。バラバラと食べ物が地面に落ちる音がして俺は痛みを覚悟したが……。
あれ? 痛くない……?
「大丈夫かい?」
そこにはあの男の人間が立ち塞がっていた。俺に食材がぶつかっている様子すらない。この人間が、俺に食べ物がぶつからないようにしてくれたらしい。
「ありがとう……?」
人間が俺たちを助ける理由は分からないが、言葉が通じない代わりに、散らばった食べ物を片付けることにした。食べ物の山を倒したおおはらは……どこかに逃げたようだ。
だけど人間には、良い奴もいるってことはだんだん俺も分かってきていた。きおきおの言っていた通り、いい人間もいるのかもしれないな。