第8章 王子様 國神錬介
ドガッ、、ドンッ、、、
鈍い音が路地裏に響き渡っていた。
私はただ茫然としていた。
あんな怖い顔をした國神くんは初めて見たからだ。
「うっ、、、ぅう、、、た、すけてくれ、、、」
『ッ!國神くん!!』
「ッ、、、」
おじさんの声で我に返った私は國神くんの大きな背中に飛びついていた。
彼も彼で我に返ったようだった。
一瞬彼から力が抜けたタイミングでおじさんは逃げ出した。
追いかけようとする彼の腕をひっぱり一緒にいてと伝えれば、おうといい顔を背ける國神くん。
ふと彼の耳が赤くなっていたのが見えた。
『ありがとう、、、助けてくれて、、、でもどうして?』
「お前からのメッセージ見て正直ショックだった。嫌われちまったのかなって思った。でもやっぱり諦められなくて、、、気が付いてたらお前を探してた。んでこれを拾ってよ」
そう言いながら彼は手に持っていた物を見せてきた。
彼の手の中には私のバッグについていたクマのキーホルダーが、、、
どうやら抵抗した時に外れていたようだ。
驚く私に彼は言葉を続ける。
「これ見つけてに何かあったんじゃないかって思って、、、お前のこと必死に探した。でもごめん、遅かっ、、、!?」
私は無意識に彼に抱き付いていた。
『國神くんは悪くない!!いつも私がピンチな時助けに来てくれる、、、、私にとって國神くんは王子様なの』
「そんないいもんじゃねぇだろ、、、でもすげぇ嬉しい。お前の王子様になれんなら」
『それって、、、//』
彼の言葉にドキッとし、慌てて彼を見上げれば視線が重なり合った。
「好きだ、、、のことが」
ぎゅっと背中に手を回され抱き締められた。
そこで思い出したのだ。
さっきの光景を、、、、