第8章 王子様 國神錬介
『おはよう、國神くん!』
「はよ、」
あれから数日が過ぎた。
最初は緊張しっぱなしだったけど、最近はやっと慣れて國神くんとは普通にお話ができるようになった。
毎日彼と登下校するのが楽しみで仕方がなかった。
彼と過ごせる唯一の時間、、、
たまに話していると頬を赤らめる彼に勝手に期待をしてしまっていた。
國神くんも私と同じ気持ちだとうれしいな、、、っと。
淡い気持ちを抱いていた。
だけど、そんな期待しなかったらよかったと後悔した。
今日はいつもより早めに部活が終わったこともあり、國神くんがサッカーをしているところを見ようと再びグラウンドへ向かっていた時だった。
ガサっと音がしたので、気になって音が聞こえた方向へ向かってしまったのだ。
『ッ!!』
目の前の光景に絶望した。
國神くんと、、、彼と同じクラスの女の子が抱き合っていたのだ。
「國神くん、、、好き」
その女の子は学年で1番可愛い子だった。
勝手に期待した自分が情けなくて、自然と涙が溢れ出た。
私なんかよりも彼女の方が彼に相応しい。
お似合いのカップルだ。
私の恋は儚く散った、、、
目の前の光景を見るのが辛くて私はその場から逃げた。
國神くんには部活が早く終わったこと、そろそろ一人で帰れるから今後送り迎えは要らないとメッセージを送っておいた。
久しぶりに一人で帰る道はどことなく長く感じた。
駅へと向かっていると、スマホから通知音が鳴った。
相手は國神くんだ。
分かった、気をつけてなとのことだった。
自分から突き放したのに、勝手にショックを受けるなんて自分勝手すぎる。
大きなため息をついた時だった、、、
『はぁ、、、、バシッ)ッ!!!』
誰かに腕を掴まれたのだ。
振り向くとそこには、、、、
「はぁ、はぁ、、、やっと、、、見つけた、、、」