第8章 王子様 國神錬介
『ごめんね、、、態々家まで送ってくれて、、、』
「いいや、俺もなんとなく気になってよ」
なんと國神くんが家まで送ると言ってくれたのだ。
流石に申し訳ないから大丈夫だと言ったのだが、電車に乗る時の不安な私の表情を見られていたらしい。
"お前が迷惑じゃなかったら送らせてくれ"
そんなわけで彼のご好意に甘えて家まで送ってもらっている。
『本当にごめんね、家帰るの遅くなっちゃって。國神くんも部活終わりで疲れてるのに』
「だから気にしてねぇよ。ここからなら俺ん家までそんなに遠くねぇし。走れば15分で帰れるし」
筋トレがてら走って帰るという彼に私は驚きを隠せなかった。
彼がサッカー部のエースでいるのは才能だけじゃなく、努力があるからなんだと改めて実感した。
「なぁ、。いつも同じ電車乗ってくるよな?」
『うん、でもあんなことがあったから少し早めの時間に変えよっかなって思ってる』
早起きは頑張らなくちゃいけないけど、早めれば満員電車は避けられるはずだから。
どうしてそんなことを聞いてくるんだろうと疑問に思ったと同時に國神くんが言葉を続けた。
「俺もお前と同じ電車いつも乗ってんだよ、だからお前が良かったらだが、、、、当分一緒に登下校しねぇか?」
『そ、そんな!悪いよ、、今日だって遅刻させちゃったし』
「あんな不安そうな顔してたらその、、、ほっとけなくてよ。お前がよければの話だが』
『ほ、ほんとにいいの?』
「ああ、俺がそうしたいんだ」
そんなこんなで私たちは一緒に登下校することになった。