第8章 王子様 國神錬介
『えっ、、、なんで、、、』
涙が突然溢れ出した。
止めようとしても止まらないのだ。
すると、、、
「そりゃそうだ、怖かっただろ。もう大丈夫だ、ほらっ」
そう言いながらハンカチを手渡してくれる彼が王子様に見えたのであった。
『ごめんね、、私のせいで遅刻に、、、』
「気にすんな、別にお前のせいじゃない」
おじさんは警察へと連れて行かれた。
私と國神くんは軽く事情聴取を受けることになってしまい、学校へ遅刻してしまったのだ。
謝る私に彼は優しく気にするなと声をかけてくれ、一緒に学校へ登校している。
まさかこんな形で國神くんとお話しできるなんて、、、
実は私は密かに彼に想いを寄せていたのだった。
私は陸上部で彼がサッカーをしている姿をよく目にしていた。
サッカーのことはよく分からないけど、彼が上手いことだけは分かる。
サッカーをする彼がカッコよくていつも目の保養として眺めていれば、自然と惹かれていたのだ。
でも一年も二年もクラスが違ったので一度も話したことがなかった。
友達には告白しなきゃ!って言われたけど話したこともないのに、告白なんて私には絶対無理だった。
憧れだけでいいやと自分に言い聞かせていた。
そんな矢先に今日の出来事があったのだ。
「そういやって陸上だよな?」
『えっ!?、、うん、、なんで知ってるの、、、?』
「ん?そりゃ同じグラウンドで練習してるからな」
(嘘っ、、彼が私を知ってくれてたなんて、、、嬉しすぎる)
にやけそうになる顔を必死に抑えて、そりゃそうか!と笑いながら返事を返した。
気が付けばもう学校、、、
彼との楽しい時間はあっという間だった。
寂しいな、、、なんてことを思っていると國神くんに名前を呼ばれた。