第8章 王子様 國神錬介
『えっ、、、』
ふとお尻を触られた気がした。
後ろを見ようとするも満員電車で身動きが取れなかった。
(気のせい、、、だよね?)
満員電車なのだから、多少手が当たるのは仕方がない。
そう思っていたのに、、、
『ッ!』
またお尻に違和感を感じた、、、
今度は確実に触られている。
気持ちが悪い、、、
声を出したいのに怖くて出せない、、、
駅までは後二駅、、、我慢すればいい。
でも、スカート越しから触られていた手は太ももに伸びスカートの中へと侵入してこようとする、、、
(誰か、、、助けて、、、)
「おい、おっさん何してんだ。」
「ッ!痛てぇだろ!何すんだ!!」
「お前の方こそ何してんだ、朝から痴漢か?」
「ち、違っ!!!」
男の人の声がしたと同時にお尻を触られていた手が離れた。
私の真後ろにいるおじさんは最初は怒鳴っていたが、痴漢というワードが出た途端あたふたとし始めた。
すぐ隣にいた女の人に痴漢されたのかと聞かれ、私は小さく頷いた。
ちょうど駅につき女の人が駅員さんを呼んでくれて、駅員室へとやってきた。
相当怖かったらしく、私はほとんど俯いていた。
「大丈夫か?」
『あ、、、はいっ、さっきはありがとうございました、、ッ!///』
さっきと同じ声がしたので、お礼を伝え顔を上げるとなんと隣のクラスの國神くんだったのだ。
どうやら彼も私に気付いてくれたようで、、、
「ッ?お前隣のクラスの、、、」
『う、うん。です』
「か、俺は國神錬介だ。大丈夫か?」
ただクラスが隣ってだけで会話もしたこともない私たちは軽く自己紹介をした。
大丈夫かと心配してくれる彼に大丈夫って言おうとしたのだが、、、
「ッ!、、、、」