第8章 対峙
悠(全てを出し切れ!拳に乗せろ!!)
呪力を少し理解し一矢報いるため拳を振るう。
その拳には確かに呪力が込められていた。
しかし易々と受け止められてしまう。
悠「クソッ!」
呪霊は嗤う。
悠仁の決死の覚悟も呪霊に、とっては余興でしかなかった。
だが、結果的に悠仁は目的を果たした。
玉犬「アオォォォーン。」
唐突に聞こえた遠吠え。
悠仁は瞬時に理解する、伏黒の合図だと。
悠「夜空、すぐ助け出してやるからな。」
そう言い、意識を手放した。
『悠仁!』
宿「つくづく忌々しい小僧だ。」
悠仁から宿儺に代わり吐き捨てる様に言い呪霊の肩を叩く。
呪霊は表情を変え戦慄しているように見える。
先程までは出ていなかった冷や汗が流れている。
宿「少し待て、今考えてる。」
どう動けば悠仁たちを苦しめられるか考えていた。
宿(今から伏黒を追った所で追いついた手を掛ける直前に代わられるのがオチだろう、ならば1番困るのは振り出しに戻る事。目の前の呪霊を伏黒に当ててやろう。)
宿「おい、ガキ共を殺しに行くぞ。付いてこい。」
『ちょっと!やめて!!』
宿儺は夜空を無視して悠仁の右腕を修復しながら伏黒の元とへと歩き出す。
呪霊が従ってくれる同然の態度で。
だが、呪霊は背後から宿儺を強襲する。
宿「馬鹿が。」
呪霊が目いっぱいの呪力を込め放つ渾身の呪力弾は悠仁の手首から先を失っていた左腕を修復し突き出した片手で霧散させた。
宿「あ、こっちも治してしまった。」
その光景に呪霊は唖然としている。
宿「散歩は嫌か。まぁ、元来呪霊は生まれた場に留まるモノだしな。」