第8章 対峙
呪霊が動き深呼吸をしただけで床が抉られた。
恵(呪術じゃない、ただ呪力を飛ばしただけだ。)
あまりの規格外に恵が戦慄する。
悠「伏黒!釘崎、連れて領域から逃げろ!!2人が領域から出るまで俺がコイツを食い止める。出たら何でも良いから合図してくれ。そしたら俺は宿儺に代わる。」
恵「出来る訳ねぇだろ!特級相手に片腕で!!」
悠「よく見ろって。楽しんでる、完全にナメてんだよ。俺達のこと。時間稼ぎくらい何とかなる。」
呪霊は嘲るようにケタケタ笑いながら腕の中の女を弄ぶ。
恵「…………頼む。」
言い募ろうとしたが悠仁の顔を見て言葉を噤む。
そして背を向け走り出す。
先程とは別の玉犬を出し命令する。
恵「釘崎を探せ!」
────────現在。
呪霊は腰に巻いていた布を剥ぎ取りふんどし姿のように、なる。
悠「動きやすくなりました、ってか。」
ヤケクソ気味に呪霊にツッコミを入れる。
悠(いくら殴っても効きやしねぇ。そりゃそうか、呪力の使い方なんてまるで分んねぇしな。)
呪霊には悠仁が繰り出す殴打は全く効いていなかった、だが悠仁は時間さえ稼げば良いという気持ちでいっぱいだった。
気付いた時には後方の壁へ飛ばされていた。
背中から壁に激突し、めり込んでいた。
悠「あ………がっ………。」
呻き声に似た声が思わず漏れる。
悠(今のは何だ?呪霊は、その場から動いていない。呪力のバリアか、何かに弾き飛ばされた?)
そこまで考えた所で………
呪霊が手に呪力を纏って悠仁の眼前に居た。