第8章 対峙
悠(動け、動け、動け、動け、動け。)
何度も頭の中を同じ言葉が駆け巡る。
その瞬間“呪いの言葉”が頭を過ぎる。
─────人を助けろ。
悠「うあ”あああ!」
恐怖を振り払うように屠坐魔を振りかざす。
その瞬間、悠仁の左腕からボタボタと血が流れる。
ボトンッと何か床に落ちる音がする。
見ると手首から切り落とされた悠仁の左腕だった。
悠仁の腕が根元から叩き折られた屠坐魔と一緒に転がっていた。
恵「鵺。」
術式を使いパイプで覆われた通路を垂直に重力に任せ降下する。
恵(死ぬなよ!夜空、虎杖、釘崎!!)
遡る事、数分前。
歯を食いしばりながら悠仁の右拳が呪霊の顔を殴打する。
左腕をベルトで止血している様子を呪霊はニタニタと笑い眺めている。
『悠仁!』
自分が危険に晒されている状況でも悠仁の方を心配していた。
悠(ここまで近づかれたら、もう逃げらんねぇ。俺が死んだらオマエも死ぬんだろ。それが嫌なら協力しろよ、宿儺。)
宿「断る。」
悠「!」
宿「オマエの中の俺が終わろうと切り分けた魂は、まだ18もある。代わりたいのなら代わるが良い。だが、その時は呪霊よりも先に伏黒を殺す。次に釘崎、アレは活きが良い。楽しめそうだ。後…………そこの女、俺はアイツの村の事を知っている。貰っても良いと言われている。より楽しめそうだ。」
意地悪く、そう虎杖に吐き捨て脅すような狡猾さが垣間見える。
悠「んな事、俺がさせねえよ。」
宿「だろうな。だが、俺にばかり構っているとそれこそ仲間が死ぬぞ。」