第1章 出会い
………………
悟「いって~、叩かなくても良いじゃん。」
傑「口が悪いじゃないか、悟。怖がってるよ。」
『………お兄ちゃん達、誰?』
傑「ごめんね。怖くないから、大丈夫だよ。」
頭をポンポンと撫でると少し震えているのが分かる。
傑「………名前は?」
『………松木夜空。』
悟「何歳なの?」
『………5歳。』
悟「めっちゃガキじゃん、……綺麗なお姉さん期待してたのに。」
傑「こら、悟。止めないか。ごめんね、口が悪くてね………。」
不貞腐れている悟を無視して話を続ける。
傑「この村はね、悪い妖怪さん達が居てね。君たちを助けるために来たんだ。」
『……………お母さん、昨日食べられちゃったの。“お父さん”に………。なんで、もっと早く来てくれなかったの?』
堪えきれず大声で、わんわんと泣いてしまっている。
そっぽを向いていた悟も少女の方を見つめ傑と目が合う。
悟「…………どうする?先生は殺しても良いって言ってたけど流石に無理だろ………。」
傑「…………そうだね、連れて帰ろうか。」
悟「えー、大丈夫かよ………。俺、面倒見ないからな。」
傑「私には、くれないんじゃないのかい?」
悟「ガキなら話は別。…………なんか甘い匂い濃くなってね?」
確かに、と2人で少女の方に目をやる。
悟「もしかして泣いたら能力強くなったり………する?」
傑「可能性として………あるね。」
悟「だる~……。」
はあ、と溜息をつき少女を泣き止まそうとお菓子を渡す。