第7章 自分の為に
キラキラと目を輝かせながら呪具を受け取る悠仁を見て
ダサ、と軽口で野薔薇が呟きながら制服の上からウエストポーチを付ける。
そして、2人で廃ビルに入ろうとした後ろで声が掛かる。
悟「あー、それから宿儺は出しちゃダメだよ。」
近くの人間も巻き込まれるから、と忠告をする。
恵「やっぱ俺も行きますよ。」
『え!?じゃあ、私も行く!』
廃ビルに入った直後、恵が追いかけようとビルに足を向ける。
悟「無理しないの、病み上がりなんだから。夜空も大丈夫だから。」
恵「でも虎杖は要監視でしょ。」
悟「まあね。でも今回、試されてるのは野薔薇の方だよ。」
『え?どういう事??』
悟「悠仁はさ、頭イカレてんだよね。異形とはいえ生き物の形をした呪いを、自分を殺そうとしてくる呪いを一切の躊躇なしに殺りに行く。君達みたいに昔から呪いに触れてきた訳じゃない。普通の高校生活を送っていた男の子が、だ。今日は彼女のイカレっぷりを確かめたいのさ。」
恵「でも釘崎は経験者ですよね。今更なんじゃないんですか?」
悟「呪いは人の心から生まれる。人口に比例して呪いも多く強くなるでしょ。地方と東京じゃ呪いのレベルが違う。………これに関しては1番夜空が実感してるんじゃない?」
『えっ。……………たしかに住んでた場所より強く感じるかも。』
悟「………しかもレベルと言っても単純な呪力の総量の話だけじゃない。“狡猾さ”知恵をつけた獣は時に残酷な天秤を突きつけてくる。命の重さを掛けた天秤をね。」