第6章 春と出会い
周りの生徒がガヤガヤと賑わい野次を飛ばしている。
皆から高木と呼ばれている体格の良い男………先生だろうか。
高木が先に投げ14mの記録を出す。
周りで拍手や歓声が飛ぶ。
次は虎杖と呼ばれている生徒が投げるようだ。
(勝てるのかな………)
砲丸を投げた瞬間鈍い音と共にサッカーゴールに砲丸が当たる。
先程まで野次を飛ばしていたのが静まり返る。
『…………凄い!恵、見た!?』
恵「………あぁ、呪力なし。素の力でアレは凄いな。」
勝負が着いたようでまばらにグラウンドから去っていく。
違う場所に移動しようとした所で先程の生徒が走ってこちらに向かってくる。
すれ違う瞬間チリリと呪物の気配が強くなるのを感じる。
パッと恵と顔を合わせ後ろを振り返り恵が呼び止めるも聞こえていないのか後ろ姿が遠くなる。
恵が追いかけようとしたが足が速く追いつけないと分かると足を止める。
恵「クソッ……。」
その姿を見ていた他の生徒が恵に声を掛ける。
生徒「アイツ50m走3秒で走るらしいぜ。」
生徒「車かよ。」
アハハ、と呆れたように笑いながら恵と目を合わす。
―――――――――――
恵「虎杖悠仁だな。呪術高専の伏黒だ。悪いがあまり時間が無い。」
暗い病院の受付に恵の声が響く。
悠「誰やねん、喪中やぞ。」
ナ「お友達?」
受付から身を乗り出し看護婦が恵の顔を見やる。
恵「オマエが持ってる呪物はとても危険なものだ。今すぐこっちに渡せ。」
悠「じゅぶつ………?」
恵「これだ、持ってるだろ。」
携帯の画面で写真を見せる。
悠「あー、はいはい。拾ったわ。俺は別に良いけどさ先輩らが気に入ってんだよね。理由くらい説明してくんないと。」
恵「………………」