第15章 アフロと聡明
とにかく、今日からしばらく秘書になるとソーンズに伝え、始末書は執務室で書かせた。
「秘書ってのは名目だけで、研究所が修繕されるまでってことだからね」
ソーンズは変に気を遣わなくていいから、全てをはっきりと説明する。予想通り、ソーンズから「分かった」の一言だけ。研究者にとってその落ち着いた性格は重要だろうが、そのアフロ頭のことも気にならないのは考えものだ。
「なんだ」
私の視線に気づいてソーンズが顔を上げる。なんだってなんだよ、そんな頭で。
「ソーンズ、その始末書を書き終わったら髪を整えようか」
「髪……ああ、そうだったな」
どうせ忘れていたのだろう。ソーンズは自分の頭をさすった。煤が出てきてソファが汚れそう。