第14章 いつメン
「はい、サリアとサイレンスも! 二人とも、仲良くしてよね〜」
「「ありがとう」」
「あ、息ぴったりじゃん!」
サリアとサイレンスも、私たちにとっては重要な役割を担っている。だが二人は、ある一件で仲が悪いらしい。テンニンカやスズランがいつも間を取り繕うとしているが、私は心配ないような気もしている。何より連携が素晴らしい。
「あとはヴァンデラだけかな? はい、どーぞ……ヴァンデラ?」
「あ、頭のお花が落ちてしまいました」
あちらの女性はヴァンデラだ。ヴァンデラは見ての通りマイペースな人で、こちらの話を聞いているのかいないのか判断が難しいところがある。いつもはあんな感じだが、彼女も強力なオペレーターだ。
「皆さん、スープは全員に渡りましたか?」
優しい声で近づいてきたのはスズラン。この戦場では似つかわしくないくらい純粋さを忘れない人だ。
私は手にしたままだったスープを一口含んだ。温かく優しい味がした。
「ありがとうございます。皆の手には渡った様子ですし、スズランやジェシカもどうぞこちらに来て一緒に食べましょう」
「はい!」スズランは元気に返事をしてジェシカを振り向いた。「ジェシカさんも、一緒に食べましょう?」
「は、はい……!」
ジェシカも充分実力はあるはずだが、誰よりも謙虚でいつも自信なさげだった。私は美味であることをしっかり伝えようと席についたジェシカに目を向けると、ソーンズが立ち上がった。
「美味かった。俺は先に見回りに行ってくる」
ソーンズの言葉はいつも単刀直入だ。見るとソーンズの器はもう空である。とはいえここの戦隊は彼が一番の火力と盾の仕事を担っている。一杯だけで足りたのだろうかと私の疑問は拭えない。
「ソーンズさん、スープがお口に合わなかったんでしょうか……」
スズランは空の器を片付けながらそう呟いた。スズランの耳が大きく垂れ下がっている。何も言ってはいないが、ジェシカの耳もますます垂れ下がっているようだ。
「そんなことはないと思いますよ、スズラン。彼は真面目過ぎなのです。きっと、この作戦が終わったら沢山食べてくれますよ」
私も、ソーンズの真面目過ぎには理解し難いこともある。しかしそれが彼の強さを引き出しているのだと思うと私は全く否定は出来ない。それに、私は彼の太刀筋は好みだ。強い信念を感じる。
