第11章 背負ったもの
アレーンがラテラーノ出身者を避ける傾向があるのは今に始まった訳ではない。そこには複雑なアレーンの過去があり、私が触れるべきものでもないということは重々承知だ。
「だが、戦隊を組む時は大変だよな……」
「ドクター、どうしたんですか?」
執務室で事務作業をしていると、アーミヤから声を掛けられた。どうやら私は、うっかり独り言を声に出してしまったらしい。
「ああ、いや、なんでもな……」
「ドクターは一人で考え込むところがありますからね。何かあるならなんでも話して欲しいです」
別に話す程でもないと思っていたが、アーミヤにそこまで言われて私は少し躊躇った。アーミヤにはいつも心配を掛けてばかりだ。私はアーミヤに話すことにした。
「アレーンのことでね、ちょっと思うことがあって。あのままコミュニケーションに難があるのは、今後の作戦に困ると思っていたんだよ」
「アレーンさんですか……」
私が打ち明けると、アーミヤにも心当たりがあるのか、憂いを含んだ表情になる。私は仕事を進めながら、他に手はないだろうかと考えていると、アーミヤが唐突にこう言った。
「だったら、アレーンさんをしばらく秘書にするのはどうですか? ここにいたら、色んな人も来ますし、自然とコミュニケーションも上達するかもしれません」
なるほど、そういう考えがあったか。
「いいね。早速実施してみよう」
私は端末を手に取った。