第10章 距離感
その後、アーミヤにケルシーについて聞いてみた。ケルシーって、顔触られるの嫌いなのかなって。
「そんなことないと思いますけど……よくロベルタさんに顔のマッサージされてますし」
「……ん?」
「何かあったんですか?」
「ああ、いや…………ケルシーのケーキを食べてしまってな」
誤魔化すために別の嘘を言うと、アーミヤがちらりと執務室の冷蔵庫を見やった。
「ケーキ……? シュークリームじゃなかったでしたっけ」
「え?」
その後、アーミヤが何かを察してケルシーの誤解は解けたようだが、私は彼女への限定ケーキを買ってプレゼントをした。ケルシーはやはり、私とは目を合わせてくれなかった。
おしまい