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ロドスの日常[方舟]

第10章 距離感


「ふふ、もっと力を抜いたら可愛い顔なのに」
 と私は思わずケルシーの頬に触れてしまった。ケルシーはすぐに後ずさりした。
「やめろ!」
「わ、す、すまないっ」
 マジで自分には反省の心が何もなく(子どもたちのことをちゃんと見ていなかった私も悪いのだが)両手を上げてグーパン位の痛みを覚悟した私だったが、予想外の反応をされた。
「ひ、人の顔を急に触るやつがあるか! 触診でもないのだぞ……!」
 ふいっと顔を逸らされてそう言うケルシー。ちょっと待て。今彼女はどんな顔をしている……?
「ケルシー、私の顔を見てくれるかい?」
「ふんっ」
 私の言葉に全く従わず、ケルシーは向こうを見ながらさっさと執務室をあとにした。人の頭とか頬を撫でる癖が、ますます板についた私には大反省だが。
「……可愛い顔してたな」
 一瞬だけ見えた驚きと照れたケルシーの横顔が、私に妙に焼きついていた。
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