第29章 シンク磨き
「本当、私も驚いたよ。購買部にあった洗剤を試してみたんだけど、だいぶ落ちたんだよ」と大将は本当に楽しそうに話していた。「だけどこの白っぽいのはなかなか落ちないね……どうしたらいいものか……」
「あー、それならこれ使うといいんすよ」
「え、果物を使うのかい? それは食べ物を粗末にしそうだけど……」
「皮を使うんすよ。この皮、固くてそれなりにゴツゴツしてるからシンク磨きに向いてて……」
「へぇ! 次からはこれ使うよ!」
「じゃあ料理した時に余った皮、取って置くっすね」
「ありがとう、ジェイ」
そうして俺は大将とシンク磨きの話で盛り上がったが、後にアーミヤさんが悩み相談してきた時に事情は知った。……今度大将がシンク磨きに来てたら、さすがに止めようと俺は心に決めて置いた。
おしまい