第9章 夏だ!海だ?…の前に!
「抱き締めて」
言われて肩に手を回して抱き締めた。
「公式戦出るの?」
そしておもむろに馨は言う。
「出る、予定ですよ」
答えれば馨が私を抱く。
「オレ、ギャンブルあんまり強くないけどさ、借金自体はあんまり額いってないし、だからちょっと位増えても大丈夫だし」
「……?」
馨が何を言いたいのか私は分からない。
「い、いつでも『ペアリング』するから」
馨は私の胸に顔をうめて言う。
「ありがとう」
今はお礼だけ言う。
「……天原さん」
子供みたいに私にくっつく馨はやっぱり可愛くて―――。
二人で取り留めなく話しながら暫くベッドに横になっていた―――。