第8章 『いっぷ』ではない事3
アルタ先輩は通学組だ。
そろそろ帰るんだろうか?
近くの公園まで歩いて、ベンチに座る。
アルタ先輩が飲み物を買ってきてくれた。
学外での青『いっぷ』は勿論禁止だ。
でも『かとる』が法律に違反しない範囲で行うのは可能で。
「美希さんは『いっぷ』にこだわるね。何でだい?」
聞かれてしまうと、私も詰まってしまう。
『何で』?
「気持ち良いからです」
端的に答えるとアルタ先輩はため息をつく。
納得のいく答えではなかったらしい。
「それなら学園に帰って『ヤリ部屋』に行けば良いだろう?……そうじゃなくて、僕じゃなきゃいけない理由、サ」
言われても、よく分からない。
「嫌がられると余計にシてみたくなるからでしょうか」
私の次の答えは、『良い』ものだったらしい。
アルタ先輩は微笑む。
「成程ね。得心した。良いよ、『いっぷ』しようか」
アルタ先輩の言葉にめろつく。
「でも、そうしたらもう僕は君を呼び出さないし、食事も一緒にしないし、教室へも行かないよ、それでも良いかい?」
人魚姫をたぶらかす魔女みたいにアルタ先輩が言った。
それに私はぷぅと頬をふくらます。
「嫌です」
アルタ先輩にとって、私がお気に入りである様に、又私もアルタ先輩を特別に視ていた。
「アルタ先輩の意地悪」
隣にある肩に自分のそれをぶつける。
アルタ先輩は笑っていた。