第12章 やまおり(公式戦after.)
御厨は言う。
「どうやってそれを?」
美希が聞き返せばふっと彼女は息を吐く。
「有城さんがカードをシャッフルしたでしょう?裏面と表面、両方見せて。あれで分かったわ。そして全て覚えた」
すごい記憶力だと美希は驚くが、多分あの場にいた全員が少なからずそういった技術をもちいた事は想像にかたくない。
やはり自分にはそういった事は苦手だな、と彼女は思う。
そしてそれを見抜く御厨はすごいな、と思いなおす。
抜き身の刃、とでも言おうか。
御厨は常に人を威圧する様な雰囲気を出している。
―――だが、
「お姉様、ゲームついでにパコパコしてもっと気持ち良くなりますかっ?♡」
美希はふざけて言ったつもりだった。
冗談半分―――、
御厨が足を止める。
美希は隣を見た。
まるで今から好物の菓子にかぶりつく前の様な好奇にそまった眼―――。
美希の大好きなその瞳。
「もう仕方ないんだから、天原は」
言いながら御厨の目は欲情にそまっていく。
連れ立って手近な『いっぷ』用のトイレに入る。
御厨はこんなに高圧的な雰囲気を出しているのに、恥ずかしがり屋で自分の体を見られるの嫌う。
それがたまらなく可愛らしい。