第12章 やまおり(公式戦after.)
『御厨、美希ペア』
―――時間は少しさかのぼり、公式戦が終わった後。
お茶を飲み退室した二人は廊下を歩いている。
まだゲーム続行中の部屋もあるのか聞き取れないが何かを叫ぶ声がした。
二人は肩を並べている。だが手はつながない。
―――そんな距離感は互いに心地良かった。
「御厨お姉様、どうやって勝ったのですか?」
なんて事ない調子で美希は言う。
「簡単よ。カードを全て覚えてめくる前から私の所に来るカードを予測しただけ」
御厨は言って、隣にある美希の髪を撫でた。
「覚えた?」
彼女が聞きかえせば、御厨は手を離し腕を組む。
尊大で威風すら感じる姿だ。
「千波さんは『仕込みは無い』と言ったけど、あのトランプ、右端の模様が表面によって違っていたのよ。細かいから一見して分からないけどね」