第12章 やまおり(公式戦after.)
「美希さん……、私と同じからっぽだからああやって、誰からの愛も、性欲も受け止められるんだよ」
あまりに楽しそうな瑠夏の声に、にあるは重ねられた手を返し指を絡める。
「あの、からっぽの体の中に彼女は何を詰めるのかな」
「あーしといる時に、他の奴の話やめるし」
自分から質問しておきながらナンではあるが、言うと瑠夏はにあるの肩に頭を乗せてきた。
「にあるちゃん大好きだよ」
言われて―――、
「あーしもだし!!」
言い返してゲームをしようと絡めた指をとこうとするが、強く押さえつけられる。
「にあるちゃんも私でいっぱいになったら良いのに」
小さな囁きを、でも、確かにとらえた。
「じゃあ、してみるし」
今度は自分から指をしっかり組む。
瑠夏はもう笑わなかった―――代わりに唇を薄く開き舌で舐める。
そして、あいている方の手でゲームのボタンを押す。
ゲームの音だけが、部屋の中に淡く響いていた。
にあるの手は、瑠夏の指を離さない―――。