第12章 やまおり(公式戦after.)
肩に回っていた手がするりと首を撫でた。
思わず振り向けば瑠夏は『陶酔』と言うべき顔をしてる。
白い頬を赤くそめてどこか夢みる様な目をしていた。
「私はからっぽの伽藍堂。何も無いから男の性欲も女の虚栄心も取り込める……だけど、私の中は『嬉しい事』『楽しい事』『喜び』で満たされちゃった……」
綺麗な面を笑ませ瑠夏は言う。
「全部にあるちゃんがくれたんだよ」
―――『だから今の私を作ったのはにあるちゃんなんだ』。
晴れやかに笑って瑠夏は言い放つ。
にあるは前に向きなおる。
「違ぇし、るかちがるかちになったのはるかちが決めた事だし」
画面の中の暗い過去をもつヒロイン。
笑って等いないのに瑠夏と重なって見えた。
又瑠夏が『くすっ』と笑う。
「それに今日は楽しかったな」
その言葉は少し意外で一瞬、ゲーム機のボタンを押す手が止まる。
そこに白い指が重ねられた。
「楽しかったなら良かったし」
重ねられた手を注視してしまう。
「私と同じ人がいるんだもんな」
「誰だし?」
聞けば、瑠夏は甘い声で囁く。