第11章 公式戦
「軽磨様」
いつの間にやら立ち上がった狩宿様が卓の側にいた。
それを見た軽磨様は耳まで真っ赤になる。
「鈴鹿ちゃん、どっから聞いてたの?!」
「『お兄さんは鈴鹿ちゃんが好きだし』」
狩宿様もさっきみたいに赤くなって俯く。
『最初からじゃん』と軽磨様が呟いた。
「お兄さんが用意させといてナンだけどお茶はみんなで楽しんで」
軽磨様は言うと立ち上がり赤くなってもじもじしている狩宿様の肩を抱く。勿論、狩宿様は嫌がらない。
むしろ、自分から身を寄せている。
「他の『しろ』と仲良くしないでください」
そして、この静まり返った室内でなければ聞こえなかったであろう小さな声で言う。
軽磨様は又耳まで赤くなって、二人は身を寄せ合って退室していく。
「那由太、大丈夫か?」
気が付けば、成部様は床でまだのびている蜜美様を抱き起こしていた。
あらわになった下半身に自分のジャケットを脱いでかけ隠して。
「んっ?……成部様?」
そしてグラスに入ったお茶を口に含み、そのまま蜜美様の唇を奪う。
お茶を口移しで飲ませているのだ。
あらあら♡
蜜美様は口をふさがれている所為で何も言えない。
「那由太……もっと飲むか?」
口を離すと聞いてくる成部様に、蜜美様は目をかっぴろげる。
「じ、自分で飲めます!!……違いますからね、この人のこれはペットに向ける様なやつですからね?!」
と、慌てた。
「那由太元気な様で良かった。立てるか」
蜜美様は頷いて差し出されたグラスの中身を飲み干す。