第11章 公式戦
互いの時計に認証を行う。
有城さんは手にしたタブレットを見て頷く。
「ペアリングは問題なく行えた様ですね。では、この卓でやっていただくのは麻雀です」
まあそんな気がしていた。
『かとる』を連れた生徒の座る卓には用意がされているのだから。
「鈴鹿ちゃん、お兄さん麻雀はちょっと自信あるよ?」
棒付きキャンディを舐めている男子生徒が連れている『かとる』の肩を抱いて言う。
「『独占権』まで買ったのに、鈴鹿ちゃんの代打ちしてあげるお兄さんに感謝してほしいな」
「はい、軽磨様、ありがとうございます」
市松人形みたいな女生徒が肩を抱かれたまま言う。
「減らず口が」
「成部様、暴言は……」
こっちは男子生徒同士だ。
どういう関係なんでしょう、きゃっ♡
「てかさー、天原ち、代々木田アルタ連れてこなくて良かったのー?」
不意に声をかけられ首をかしげる。
「どういう意味ですか?」
私は素直に返してみた。
「にあるちゃん……」
一緒にいる『かとる』がなだめる様に言う。
「え?るかちなんで止める?みんな聞きたいだろ、それ」
ゲラゲラ女生徒は笑うのだ。
「私では力不足と言いたいのかしら」
椅子にかけながら御厨お姉様。
「役不足って言いたい?」
バチバチの雰囲気で見つめ合う二人。