第2章 かとる
私みたいな女はまだ楽と言わざるを得ないだろう。
いつかは良きに悪しきに関わらず穴にチンチンを入れる機会がある。
『いっぷ』でそれを体験してしまうのはまあ悪しき事だろう―――そしてそれは『たろ』にも適用された。
『たろ』は速やかに『いっぷ』に耐えうる準備をするか序列を上げなければならない。
ただ、序列入れ替えの正式決定は毎月二十五日締め、翌月初日に正式決定だ。
『たろ』になってしまったら最低一ヶ月は『かとる』として生活しなければならない。
馨は余りギャンブルが得意では無いらしい。
早々と『かとる』になって、以来全然序列を上げられていないのだ。
ねこまんまをかき込み、白い顔を更に青ざめさせて馨が言う。
「天原さんは辛くないの?」
「全然♡」
入学当時、お古を貰った制服は今や新品。
教科書筆記用具、果ては医療費まで無料―――そして私のドM心まで満たせる『いっぷ』は最高だ。