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黄色い夜景の歌

第28章 答え


「おんりーちゃん」
 カイトさんがギターを置く音で俺はハッとした。俺はカイトさんの歌を聴き終わるまで、ずっと立ちっぱなしだったことに気づいた。
 カイトさんは目で何かを指した。それを辿ると、俺のすぐ真隣にもう一つ椅子があることに気がついた。俺は慌てて椅子に座った。
「ごめん、立たせたままで」
 とカイトさんは謝ったが違うのだ。俺が勝手に立って聴いてしまったから、カイトさんは悪くない。俺は首を振った。だけど、言葉は出てこなかった。するとカイトさんが小声で、このままじゃおんりーちゃんに甘えちゃうなって呟いたから、ますます緊張しちゃって。
 カイトさんが膝まづいて床を見つめるばかりだった俺と目が合った。それから手を差し伸ばす。こういうのはテレビとかでしか見たことがない。
「俺と、付き合ってくれますか」
 言われるのは分かっていた。分かっていたのに自分の心臓は想像以上に早く鳴って、声が喉で引っ掛かる。答えなんて分かっている癖に。でもなんて答えよう?
 その時、カイトさんの先程歌ってくれた綺麗な声を思い出して。
「俺も、また夜景見に行きたいです」俺は、カイトさんの手を取った。「よろしくお願いします」
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