第22章 それはもう
「……意識してしまうんで」
何をとか、どうしてとか、全部置いて俺の口から出てきたのはそれだけだった。俺今多分、顔が真っ赤だ。全身から熱が出て、カイトさんと目が合わせられない。でも、言わなきゃ。俺だって男だし。
「あの……!」
勢いで言おうと俺が顔を上げると、カイトさんと視線がぶつかった。また言葉が頭から消えてしまう。
それを、カイトさんが全部受け入れたように、俺にこう言った。
「次の言葉は、俺が言わせて。俺から言いたいんだ」
「それって……」
俺は続きを言わなかった。カイトさんは優しく微笑んでパスタを食べ続けた。一挙一動を眺めてしまう。舌なめずり。俺を発熱させるには充分過ぎる仕草で。
「ちょっと、さすがに見過ぎだよ、おんりーちゃん」
「あ、え……すみません」
俺は急いでパスタを食べ砕いた。途端に味がよく分からなくなる。カイトさんの言葉を自分の中で何度も繰り返した。その言葉ってどういう意味? 分かるけど分かりたくなかった。それは、カイトさんが帰るまではっきりとはしなかった。