第22章 それはもう
そうして俺は、猫を出汁に()カイトさんを自宅に招待することとなった。
いつもの場所でカイトさんと会って、俺の家まで案内する。カイトさんは、いつも通りにこやかな笑顔で普段通りな様子だった。しばらく連絡が来ていないからと、ちょっと不安だった俺が恥ずかしい。
「昼飯作るんですけど、食べますか?」
リビングに案内したあと、俺はソファに座ったカイトさんに訊ねた。俺はカーペットに座っている。
「え、おんりーちゃんの? 食べる!」
すごく目を輝かせるように言うカイトさんは、本当に無邪気だなぁと思う。俺が立ち上がると、カイトさんが片手に持っていたコンビニ袋を渡してきた。
「ただで上がる訳にはいかないと思って、飲み物。おんりーちゃん、こういうの飲む?」
とカイトさんが持つ袋の中には、レモンの炭酸飲料がチラ見えした。
「ありがとうございます、飲みます」
俺はそう言ってカイトさんから袋を受け取ろうとした。
「あ、そうそう! らいくんのために猫じゃらしも持ってきたんだよね!」
ガサッと何気ない動作でカイトさんは袋に手を突っ込んできて俺はギョッとした。カイトさんの指先が、俺の手にぶつかったからだ。
「ほら、これ! らいくん遊ぶかな……おんりーちゃん?」
「あ、いえ、なんでもないです」
俺は逃げるようにしてキッチンへ向かう。カイトさんには変に思われたかもしれない。キッチンからリビングを見ると、カイトさんはらいくんと猫じゃらしで遊んでいた。さっきの動揺、気づかれていないのかな。
それより、と俺は昼飯の準備をする。色々考えたけど、やっぱりいつも作り慣れているもので、ということで簡単なパスタを作ることにした。好みはメーディさんからリサーチ済みだ。たらこパスタに刻み海苔を掛けただけのもの。他にも入れようか悩んだが、嫌いな食べ物があるかまでは聞かなかったのでシンプルにした。