第20章 恋のお悩み?
「でもどうして急にお見合いさせたがったんだろ。ジニアはさ、みんな仲良いけど、こういうことは一度もなかったし」
「すみません、俺のせいで……」
俺のなんとなく話したことでこんな大事になっていたとは。あとでカイトさんにも謝らないと。そう思っていると、メーディさんは首を振った。
「ううん、気にしないで。むしろカイトの友達のこと知れて嬉しいし」とメーディさんは言う。「カイトはいつも一人よがりだったからさ、ようやくいい人に会えたんだなぁって、妹としても安心だったし!」
「一人よがり……」
カイトさんにも、そんな時代があったのか。
「あ、この際カイトの話色々教えちゃおっか! もちろん、他のファンには秘密の話!」
「え、いいんですか?」
メーディさんの話に思わず食いついてしまった俺だが、さすがにプライバシーな話を聞くのは申し訳ない気が……でもやっぱり気になる。そんな二つの気持ちがないまぜになってフラフラしているところに、メーディさんは少し身を乗り出して小声でこう言った。
「気になってるのは、カイトの方なんでしょ?」
「へ」
ズバリ言われた気がして俺は変な声を出してしまった。メーディさんはニヤニヤしながら身を引っ込め、話を続ける。
「お兄ちゃん、結構鈍感だから大変だよ?」
「いや、俺は、別に……」
と目を逸らした時点でもう俺は認めたようなものだった。そうか。そうなのか。俺はカイトさんに……。
一方のメーディさんは嬉々としてカイトさんのアレやコレやの話をしてくれた。食べ物の好みや子どもの頃のエピソード。ついつい俺は全ての話に、聞き入ってしまっていた。
「あれ、二人とも……かなり仲良くなってるね……?」
一時間くらいして喫茶店に戻ってきたカイトさんに、そう言われたくらいだ。