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黄色い夜景の歌

第17章 君だったから


「どうして、俺だったんですか?」
 夜景ならみんなと来ても良かったし、自分だけ呼ばれたことに俺は疑問だった。
「みんなと一緒に来たかった?」
 と首を傾けて俺の顔を覗き込むカイトさんがちょっと子どもみたいだった。俺は答えあぐねてしまって何も言えないまま、ただカイトさんから目を逸らしてしまう。するとまた、カイトさんがフフッと笑うのだ。
「おんりーちゃんは真面目で優しいんだなぁ」でもカイトさんは、気にしないまま夜景へ視線を投げた。「そうだね。今度は、みんなと一緒にここに来よう。あ、ドズル社はみんな忙しいかな?」
「時間があれば行きます」
 少なくとも俺は、カイトさんやジニアの約束ならどこへでも行きたい思いだった。それに、こんなに美しい場所を、みんなにも教えてあげたくなるのも本当のことだったし。
「……カイトさんと二人きりなのも、嬉しいです」
 ちょっと吃ってしまったかな。俺にしては、踏み込んだ言い方だった。けど、この言葉も本当だ。憧れの人と、カイトさんと一緒に夜景を見たこと、俺絶対忘れない。
「ありがと、おんりーちゃん」
 一オクターブ下げたようなカイトさんの声に俺はまたドギマギしてしまう。俺、カイトさんの言動に一喜一憂してる? バレてないよね?
「それにしてもすごいなぁ、ドズル社は」カイトさんは唐突に話を変えた。「あんなに鬼畜な企画をすんなりやってのけるんだもん」
「まぁ……いつものことってカッコつけたいんですけど、最近鬼畜が多いんですよ」
 それに、すんなりって訳じゃないです、と付け加えるとカイトさんは声をあげて笑った。
「でもあの時のロッド、全部おんりーちゃんが集めたじゃん」
「ああ……たまたまですよ」
 そんな普通の雑談をしている時間が楽しかった。でも褒められっぱなしもなんだか悔しいので、俺もカイトさんに言い返してみる。
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