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黄色い夜景の歌

第16章 それは駆け落ち同然に


 煙たい焼肉屋を出ると、外は肌寒い夜だった。どこに行くんですか、と俺が聞いた時もカイトさんは俺の手を引いていて、まだ内緒、とネオン街を歩き続けた。
 仕方なくそのまま引かれたまま街の中を歩いていると、だんだん人や光が遠のいてきて俺はちょっと怖くなった。もしかして俺、変なところに連れて行かれるんじゃ。カイトさんじゃなくて、暗い夜が怖かった。
「ここ、行こう」
 そうして一旦止まったカイトさんが目で指したのは、公園みたいなところの階段前だった。公園といっても遊具などがあるような場所ではなく、木々が多少あったり、芝生になっている緑地だった。
 都会にこんなところがあったんだ。しかも駅から徒歩で行けるところに、と思って階段を上がる。街頭が一つ、二つしかなくて俺は暗がりに何かいそうだと気づいたらカイトさんの手を握り締めていたが、カイトさんは何も言わないで握り返しているだけだった。
 階段は思った以上に長くて、体力が全然ない俺は少し息が切れてしまっていた。なのにカイトさんは全く息が切れていないし、終始こちらを振り向いてはにこやかな笑顔すら崩れていない。顔もよくて体力もあるなんて、何もかもがハイスペックなイケメンってカイトさんのことなんだろうと思った。
「さ、着いたよ」
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