第15章 お疲れ様会
「カンパーイ!」
その後、俺たちは長いエンドラ討伐企画を終えたということで、先程話題になっていた蘭々亭にドズル社とジニアが全員揃って集まっていた。
この焼肉屋のいいところは大きな個室があることだった。いきなり十人来てワンチャン予約も取れないかと思ったが、今日は平日ということもあって空いていたみたいだ。
みんなはそれぞれ飲み物を乾杯してごくりと飲む。向かいの席にはジニアメンバーが並んだが、リアルで会うのは初めてだ。自己紹介は、さっき外で済ませてきたが、それでも憧れの人を前にじっと観察してしまう。
まずクレナイさんは、髪の毛に赤いメッシュを入れた女性だった。性格は撮影時と同じ元気を取り柄にした人で……かなり酒に強いし声も大きい。もうすでに一杯ビールを飲み干し、次のビールを注文しようとしていた。
エムルートさんは、豊かな髪にカールで巻いた髪型をしたちょっとオシャレな男性だった。髪の毛を伸ばしていてそれを後ろでまとめている。エムルートさんはそんなに歳ではないはずだが、すっかりぼんさんと意気投合して肉を食べながらスマホで何かを見せ合っていた。
アルくんもイメージ通り、目が大きくてくりくりふわふわしている男性だった。どう見ても成人男性なのに、普段の声も仕草も可愛くてどうも既視感あるなと思ったらそうだ、まろくんに近いかもしれない。もっとも、性格は天然といったところで、おらふくんと同じミスをしている辺り、とてもよく似ている気がした。
そしてランさんは金髪の綺麗な女性で、やはりというか酒の席でもしっかり者だった。すっかり酔ってしまったクレナイさんを上手く制したり、エムルートさんの小さな企みにすぐ気づいたり。俺はあまり詳しくないけど、多分美女というのはランさんのことなんだろなと思う。
カイトさんは、一言で言うとイケメンだった。柔らかそうな髪に白い肌、そこから優しい声が発せられて俺は全然目を合わせられなかった。エムルートさんもイケメンだと思うけど、彼はどちらかというとオシャレという言葉がよく似合う。一方でカイトさんは飾りっけのないシンプルな格好に化粧もしていなくて、俺は場違いなんじゃないかと思った程だ。俺は出された肉も全然喉が通らないまま、レモン炭酸を自分に流して平静を保とうとした。