【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
あの子はきっと、幼馴染の友が苦しんでいるのを見て心を痛めただろう。
学が無く、奴隷から防家の下女になり。
月娘の目に止まってからは侍女になった娘だったが、月娘は彼女の心優しい所を気に入っていた。
「……その侍女を大切にしていたんだな…。」
「……さぁ…、どうでしょうか。」
月娘は彼女に学が無く時に不躾な行動を取っても、彼女に教養を教えなかった。
防家の一人娘で、ましてや皇室に嫁ぐなら、僑香の様に上級の家門の娘が従えるべきだが。
月娘が小閔を侍女にしたのは、壬氏が後宮入りした後だった。
婚姻を拒んだ壬氏に対しての反発だったのかもしれない。
いくら努力しても認めてくれない壬氏に疲れた頃に、小さい体で下女の仕事をしている小閔が目に入った。
彼女を引き受けたなら、僑香の様に教養を身に付けさせて、本の1冊でも与えてやれば良かった。
そうしたら、こんな事件に巻き込まれる事もしなかったのに。
そして、1人で牢獄で死ぬ事も無かっただろう。
こうして彼女が亡くなり、後悔しか残らない主君が果たして壬氏の言う通り、大切にしていたと言えるのだろうか。