【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
壬氏が宦官として接して来ても月娘の気分が悪くならなかった理由は。
背もたれに身を任せて力無く座っている月娘の手を握り。
壬氏がギュッと握って膝を付いて月娘を労りながら顔を見上げていたからだ。
しばらく皇太弟の宮に籠って出てかなった事位は許せた。
「月娘お嬢様。茉莉花茶です。」
月娘は匂い袋から薬を出すと茉莉花茶と一緒に飲んだ。
匂いがキツいこの薬を飲む時は、いつも茉莉花茶の香りと風味で消していた。
「………………。」
月娘は薬を飲むと、茶器を手に持ったまま、しばらく俯いていた。
しかし、自分の顔を覗き込んでいる壬氏とは目線は合わない。
「小閔は、トリカブトを薬だと思っていました……。」
ボソッと喋った月娘の脳裏に浮かんだのは、小閔との何気ない会話だった。
『月娘お嬢様の薬の匂いは本当にキツいですね!』
『……これはトリカブトの匂いよ。』
茉莉花茶を出して、顔を顰める小閔に月娘は笑って言った。
『月娘お嬢様の気性を抑えるには、この位あくの強い薬じゃ無いと無理なんですね。』
『………………。』