【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
「……今度は皇弟殿下も違うと思います。」
「ん?」
まだ瑞の話?
月娘は考えていた頭を切り替えて僑香を見た。
何か根拠がある様に自信のある顔をしている。
彼女はずっと2人の事を近くで見ていた。
確かに会えば喧嘩ばかりで、2人が仲良く睦み合っている姿を見た事が無い。
だけど、今日見た壬氏は、本当に月娘を愛おしそうに見ていた。
壬氏に触れられて顔を赤くして俯いていた月娘の姿を思い出す。
どう見たって仲の良い恋人同士の様だった。
期待を込めて言っている僑香の目を見て、月娘はフッと笑った。
「…貴方がそこまで言うなら、今度は期待してみようかしら。」
もし本当に壬氏が明日も今日と同じ笑顔を見せてくれるなら。
それ以上に嬉しい事は無いのだから。
「大丈夫です!私が保証します!」
そう僑香が笑って言うから、月娘も釣られて笑った。
しかし、残念な事に。
壬氏はまたしばらく宮に籠っていたと言う。
壬氏が宮に籠る本当の理由は。
まだ誰も知らない……。