【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
「……間違いなく、防家の名前が出ない様に支援を届けよう。」
自分に擦り寄ってくる可愛い月娘を抱き締めながら、壬氏は少し嬉しそうに言った。
いつもこんな可愛かったらいいのに…。
その言葉を発した瞬間に、また喧嘩になると分かっているから、その言葉は飲み込んだ。
そして、滅多に見れない月娘を堪能する様に、またキスの嵐が始まる。
「他の者に嫁ぐなんて2度と言うなよ。」
月娘の顔を覗き込みながら壬氏は言った。
「……分かりました…。」
月娘がそう答えると、壬氏は満足した様にいつもの優しい笑みで月娘を抱き締める。
(………瑞って……。)
結婚してと言うお願い以外は簡単に聞いてくれるのね。
壬氏の腕の中で月娘はそんな事を思った。
こんなに手放そうとしない癖に、どうして結婚だけはしてくれないのだろう。
せっかく壬氏の腕の中に居るのに、小さな疑問が不満に変わりそうだ。
だけど、今はこの甘い時間を壊したく無かった。
少しだけ漏れそうになった不満に蓋をした。