【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
夏潤と揉めるのも面倒くさく、壬氏との事に疲れていたから。
もうここ辺で可哀想な死体が作られるのは止めようと思っていたが。
「………………。」
「……どうした?」
月娘はジッと壬氏を見つめて、彼の顔が少し赤くなったのを確認した。
その顔を見て、散々悔しい思いをさせられたけど。
もう少しだけ、この腕に縋ってみてもいいと思った。
「……公に防家から軍師に支援を出す事は出来ませんから…。」
「それで薬店を使って、更に別の名で支援しようとしていたのか?」
「……そんな所です…。」
確かに公務に着く人間に頼んでは、どんな場所で争いが起こるか分からない。
薬店の様に人脈が高位の一般人の方が、防家の名前を消しやすいのかもしれない。
「そんな事の為に婚姻をしようとしたのか?」
「……………。」
夏潤の目的は婚姻で、支援の方が口実だが、壬氏にはそう思わせていた方が良さそうだ。
「…お願いします…。防家の名前が出ない様な経路を使って、風軍に支援して下さい。」
月娘はスリッと壬氏の腕の中で、彼の身体に顔を埋めた。