【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第4章 後宮の外に毒の華が咲く④
「……瑞月様にお願いがあります…。」
「なんだ?」
普段は月娘がお願いなんかしたら、逃げ出しそうな壬氏が、ニコニコと笑って月娘の話を聞いていた。
「……烏龍城砦を守っている風軍に支援を送ってもらえませんか?」
「……風軍とは、確か月娘の従兄弟が軍師で入っている……。」
「そうです。鄭軍師の軍です。」
月娘は忌まわしい、鄭夏潤(チョン・ハユン)の顔を思い出して思わず顔が歪んだ。
「……その事と薬店はどんな関係があるんだ?」
「………………。」
壬氏の疑問に、月娘はどう答えようか悩んだ。
夏潤からの要望は支援だったが。
『高侖と婚姻して資金を渡せ』との事だった。
夏潤は月娘が皇室に入る事を嫌がっている。
月娘が皇室に入らない為なら何でもやる。
それこそ、この要請を断ったら、侍女の1人の死では終わらないと分かっていた。
そう。
月娘は今回の侍女の死は、夏潤の計らいだと思っている。
そして事実そうだろう。