【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
むしろ、その光景を見てきた恐怖の対処として月娘を見ている様だった。
(……壬氏様がその様な行為を黙って見ているのだろうか…。)
猫猫から見た壬氏は、この後宮の不正を正す役割を過剰にしているイメージだった。
どんな厄介ごとにも首を突っ込んで、自分が納得いく答えが出ない限り、決してその追求を緩めない人物だった。
その壬氏の監視の元の後宮で、月娘が好き勝手に出来る事が想像できなかった。
(…確かに皇帝から、かなりの信頼を得ている家臣の1人娘だと聞いている。)
それにしたって腑に落ちない。
猫猫もまた、自分が納得出来ない事を見過ごす性分では無い。
「…その内貴方も目に入れる光景があるわよ…。」
そう言ってやっと掃除の続きをする侍女に、猫猫も手に持っていた雑巾を動かした。
「そもそも、何故太師の娘は後宮に出入りしてるんですか?」
まだ続く猫猫の疑問に、侍女は大きくため息を吐いた。