【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
しばらく猫猫を見ていた月娘は視線を外して、そのまま玉葉の元に足を進めた。
「……はぁ……死ぬかと思った……。」
月娘が猫猫達に何も言わずに素通りして、その侍女は脱力して床に座り込んだ。
「……確かに…人を殺しそうな目でしたね…。」
先程の月娘の目線を受けて、猫猫が思った率直な感想だった。
「殺しそうじゃ無くて…!月娘様は本当に殺るのよ!!」
2度目の雑巾が猫猫に当たった。
「あの方に目を付けられた侍女はね…!その仕えているお妃様に断りもなく罰せられるのよ!!」
涙目でその侍女が言うので、猫猫は逆に冷静になった。
「この後宮で、お妃様の侍女達を罰せられるなんて、皇帝以外に居るんですか?」
「……月娘様は出来るのよ…。この後宮で何をしても罰せられた事は何も無いんだから。」
そんな事があり得るのだろうか。
しかし、その侍女の表情から嘘を言っている素振りは無い。