【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
「……そんなに私に触れたられたく無いなら、もういいわよ…。」
壬氏の手を取って、月娘はポツリと言った。
そうだ。
どうせこの男はここまでしても、結局後宮から出ては来ないだろう。
またその後は、月娘と深い関係になる事を拒んで、いつもの様に逃げるのだろう。
スッと壬氏から体を離そうとした時に、今度は逆に壬氏に抱き締められた。
「っ!」
そしてまた唇が触れると、すぐに舌が入ってきた。
「ふ…っう…。」
先程より荒々しいキスに、月娘の目が顰められる。
薄目で見る壬氏の顔も、同じ様に歪んでいた。
「……ふざけんなよ。」
少し唇が離れて聞こえて来た声は。
いつものよそゆきの壬氏の声ではなく素の瑞月の声だった。
「俺がどれだけ我慢してたと思ってんだ。」
壬氏の柔らかい笑顔は無く、月娘の目の前に居るのは男の顔だった。
甘露の様に甘い声と言われている壬氏の声より。
この声の方が断然体に響いた。
もう一度壬氏からキスをされた後はもう止まらなかった。