• テキストサイズ

【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】

第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③


更に服を脱ごうとする月娘の手を止めた。

「……………。」

月娘は相変わらず冷めた目で、顔を赤くしている壬氏を見下ろした。



「……もう抱いたくせに…。」

月娘の言葉に壬氏はギクっと肩を跳ねらせた。

「止まらなくて、散々抱いたくせに。」

「月娘!」




壬氏は咄嗟に手で月娘の口を塞いだ。

口を塞がられても、何か言いたそうに月娘は壬氏を見ていた。




あの日の夜。

もう瑞月と会わないと泣きながら怒っていた月娘を。

瑞月は決して離さなかった。




怒鳴り声を塞がれる様にした初めてのキスも。

暴れる月娘を押さえ付ける腕も。

全てが愛おしくて、最後は彼に縋り付いた。




離れようとした心などすぐに消される様に。

初めての痛みさえ嬉しくて。

流れていた涙はいつの間にか、瑞月が初めて自分の男になってくれた喜びの涙になっていた。




このまま彼と幸せに過ごせると思っていたのに。

その後も壬氏は、後宮から出てくる事は無かった。
/ 342ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp