【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
「………それだけ?」
「……ん?」
壬氏が振り返って見た月娘の顔は能面になっていた。
「私の婚姻がキス1つの代物?」
「………………。」
何満足してるの?この人。
あまりにも腹が立って、月娘はそのまま壬氏を押し倒した。
「!!待て!月娘!」
焦っている壬氏に馬乗りになって彼を見下ろした。
「………………。」
月娘は黙ったまま、服を脱ぎ始めた。
「待て!!高順が居るんだぞ!!」
何処で見ているかも分からないので、壬氏は慌てて月娘に上着を着せた。
「…なら、寝所に通して下さい。」
「…月娘……。」
「キス1つで婚姻を破棄する事なんてしませんよ。」
ならどうすれば月娘は納得してくれるのか。
それは怒っていても頬を紅潮させて目線を伏せている月娘の表情で分かった。
「月娘……私達にまだ子供が出来る訳にはいかない…。」
むしろ昔より皇帝から、東宮になる様にとの圧は強くなっている。