【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第1章 後宮の外に毒の華が咲く
「あの方は誰ですか?」
玉葉妃の宮の前で、猫猫は一際美しい女を見て言った。
侍女を2人仕えて、その身なりからはかなり上位の身分の者だとすぐに分かる。
猫猫が彼女に目がいったのは、その美しい容姿もそうだが…。
それよりは彼女の表情。
目に生気を溜めて全てを見透かす様な眼差しなのに。
何処かその表情には影があった。
「……貴方、少し前に流行った流行歌知らない?」
「???」
「『後宮の外に咲く毒の華』」
その言葉で猫猫はやっと彼女が誰か分かった。
「華瑞月様に振られた毒の華っ…。」
「静かにして!!貴方死にたいの?!」
思い出してスッキリした様な猫猫の顔に、手に持っている雑巾を投げつけた。
その2人の侍女の声の大きさに、月娘はチラリと猫猫を見た。
その瞬間に、大きく跳ねる侍女の隣で、猫猫は見つめられている月娘の目をジッと見ていた。