【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第3章 【R指定】後宮の外に毒の華が咲く③
顔を俯かせている月娘の顎に触り、その顔を自分の方に向ける。
「枴家に輿入れするとはどういう事だ?太師と帝は了承したのか?」
「………………。」
その2人が自分達の婚姻を望んでいる。
それがあるから安心して後宮入りして仕事に専念出来たのだ。
この婚姻が政略でも皇命でも構わなかった。
最後に側に居るのは月娘だと決めていたから。
「……父は……私の事を1番に考えてくれるので、私が幸せだと言ったら私の背中を押してくれます。」
厄介なのは皇帝の方だった。
彼はきっと最終的には月娘の意見を通してくれるだろう。
だが今回薬店との縁談の話をした時に…。
『そうやって瑞が追い詰められたらどんな方法を取るのか見てみたい。』
と、笑顔で言われた。
「……………。」
つまり、婚姻という一大事さえ、男女の駆け引きだと思われているのだ。
そんなつもりは無かったが、どうやらその駆け引きは壬氏には効き目があった様だ。