【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第18章 最終章
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薄暗い宮殿内の地下牢で夏潤はあれから投獄されたままだ。
ここを出る時にはそのまま僻地へ送られ、2度と月娘と会う事は無いのだと夏潤は理解していた。
「月娘様!お戻り下さい!」
地下牢に武官の声が響いた。
月娘の名前に夏潤が顔を上げると、牢の向こうで地面に座っている夏潤を見下ろしている月娘と目が合った。
扇で口元を隠しているが、見えている目は冷たく夏潤に向いている。
「……随分と変わり果てた姿で…。」
月娘は汚れている夏潤に目を細めて言った。
この男がこんなにも惨めな姿を見せたのは初めての事だった。
だが夏潤は月娘の嫌味にすら笑顔を見せた。
「…僑香には見せたくねぇな。」
月娘なら夏潤のこの姿ですら嘲笑いそうだが、僑香はきっと胸を痛めてしまうだろう。
今更幼馴染を気遣う夏潤に月娘は怒りを覚えた。
「鄭・夏潤。跪きなさい。」