【薬屋のひとりごと】後宮の外に咲く毒の華【R指定】
第17章 【R18】毒の華は華麗に咲く②
ポカンとする月娘に、壬氏は部屋の中に婚礼衣装を次々と運び込む。
「さぁ僑香。お前の出番だ。」
美しい赤い婚礼衣装や簪が僑香の前に置かれる。
これはもう。何を言っても今日中に月娘を連れ去るつもりだ。
満足そうな壬氏の横で、月娘もまた覚悟を決める。
月娘が婚礼衣装の用意をしている間にも、枋家の周りにはどんどん人集りが出来ていた。
流行り詩で捨てられた女人が皇弟妃になる。
信じられない光景だが、こうして皇室の馬車があるのだからもう疑う事も出来なかった。
人々は口々に色んな憶測をした。
皇弟が毒の華にやられてしまったや。
きっと月娘が何か悪どい企みをしたのだろう。
どれも月娘を貶す言葉ばりだが、その罵倒は枋家の門が開くと一斉に静かになった。
門が開いて大勢の武官に囲まれて現れた婚礼衣装の月娘に、息を吐くのも忘れて全員が見入っていた。
真っ赤なベールに包まれているのに、その美しさはまるで隠れていなかった。